猫柳の咲く季節に


「付き合ってはないよ」


「……え?」


「ただ、俺が好きなだけだから」


ああ、やっぱりそうなんだ。


『永瀬さんが好き』


はっきりとそう言ったキミの目は、 曇りなど一切なく、真っ直ぐだった。


私は、この目に勝てない。


「……でさ、話あるんだよね?」


「あ、うん…そう、なんだけど」


私は、下を向いて黙り込む。


重たい風が、2人の間をすーっと通る。

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