猫柳の咲く季節に


ふと見ると、千鶴さんの腕の中には、あのツキがいた。


「ツキ………」


気づけば、そう声に出していた。


千鶴さんにも聞こえていたのか、ツキと私を交互に見ている。


それを見て、はっと口に出ていたことに気づき、慌てて口をおさえる。


千鶴さんはゆっくりと私の方へ歩いてきて、そっとツキを前に突き出した。


どういうことなんだろう…


そう聞きたくて、両手を口から離す。


「よかったら、触れ合ってください!会うのは久しぶりだと思うので」


疑問を聞く前に返ってきた。

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