猫柳の咲く季節に


「篠原さん」


どこからか、私の名を呼ぶ声が聞こえた。


しかも、結構近かったような…


もしかしてと思い、後ろを振り返る。


そこにいたのは、にこっと私に笑いかける彼の姿だった。


「篠原 希美さん、ですよね?」


やっぱり、私に言っているんだ。


知り合いだったっけ、と疑問が浮かび、彼の問いに答えることができない。

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