猫柳の咲く季節に


「笑っていられるのも今のうちだよ」


「え、どういう意味!?」


すると、柏木はうつむいて、ぽつりとつぶやいた。


「俺も、拓海の被害者だから」


切なそうに苦く笑みをこぼした。


それを聞いて、はっとする。


そういえば、そうだった。


柏木と会うのは、小学校の卒業式ぶりじゃない。


あの事件以来だ。

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