猫柳の咲く季節に


苦しかったんだ。


誰にも言えずに、たったひとりで抱え込んで…


一歩、一歩と新山さんに近づく。


そして、私は…


彼女の頭を撫でた。


「…頑張ったね」


「……!はい…っ」


涙を必死に拭って、真っ赤な目で笑う。


そんなあどけない笑顔が、夕日に照らされて、とてもきれいに輝いていた。

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