猫柳の咲く季節に


今日も、会議室に入って真っ先に気付いた。


あの優しい瞳の輝きは、何年たっても変わらない、あのころの伊月のまま。


だから余計に、思い出してしまうんだ。


伊月を…かけがえのない、大切な友だちを傷つけた、あのことを。


「拓海、ちょっと手伝ってくれない?」


俺を下の名前で呼ぶのは、今も変わっていない。


まあ、俺もそうだけど。


やっぱり、忘れているわけないか。


なんて、心の中でつぶやいて、伊月のところへ向かう。

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