猫柳の咲く季節に
この数年間、伊月はどんな思いで過ごしてきたのだろうか。
そんなのは、今の姿を見てわかる。
優しくて、繊細な心を持っているから、その分傷つきやすいのだろう。
『犯人なんていない』
そんな考えは、俺には一生かかっても無理かもしれない。
やっぱり、伊月はあのころと変わってない。
そう思うと、気が楽になって、俺の全てを話してみようと思ったんだ。
「じゃあさ、ちょっと長いかもしれないけど、俺の話、聞いてくれないか?」