猫柳の咲く季節に
だけど、そんな疑問は、この何枚も重なった毛布を見れば、全て吹き飛んだ。
きっと、なにか事情があって、家で飼えないだけなのかもしれない。
こんなにも、丁寧に世話されているんだから。
不安も心配も、ないって言ったらウソになるけど、それよりも、信頼のほうが何倍も大きかった。
それから、数ヶ月。
父親の帰りがだんだんと遅くなっていくにつれて、1人でいる時間が多くなった。
家に帰っても、明るく照らしてくれるのは、家族の笑顔なんかじゃなく、ただの電気。
そんな生活が、すごく苦しくて、寂しくて。
だけど、学校ではそんな姿を見せないようにしていた。
伊月や希美、クラスのみんなに心配をかけたくなかったから。