猫柳の咲く季節に


「…親が、離婚したんです」


うそ…


「私は、新山 千鶴ですよ。永瀬さん」


「………っ!」


ずっと、思い出せなかった新山さんの下の名前。


それは、千鶴さんだったんだね。


正直、半信半疑なところもあるけど、悲しそうな千鶴さんの表情を見れば、納得するしかなかった。


新山さんと千鶴さんを、イコールとして繋いでみると、一致するものが多くある。


親しい人にも、敬語で話すところ。


ネコが好きなところ。


それに、シオとツキの話をしたときの『…頑張ったね』。


あれは、私の言葉だった気がする。


気付いてほしかったのかな…


分かんないけど、そういう意味を持っていたのかもしれない。

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