猫柳の咲く季節に


「もういい…!」


そのまま会議室を飛び出す、佐川さん。


やった、のかな。


佐川さんに、勝てた…?


思い、伝わった…?


私の体は、トラウマから解放されたことによる安心か、力が抜けてゆく。


「永瀬さん……!?」


その場に座り込む私に、水を持ってきてくれる千鶴さん。


「ありがとう」


「いえ、こんなことしか出来なくて、すみません」


それを受け取って、ゆっくりと口に運ぶ。


身体中が潤ってくるようで、少し気分が楽になった。

< 449 / 514 >

この作品をシェア

pagetop