猫柳の咲く季節に


『北沢高校 1年 吉澤 千鶴』


新しい肩書きに、胸を膨らませながら、教室の扉を開ける。


クラス発表の張り紙には永瀬さんの名前はなかった。


違う高校へ行ったのかもしれない。


するとそこへ、佐川さんの姿が見えた。


同じ教室へと入ってくる。


謝るタイミングは、きっと今だ。


もしかしたら、神様が巡り合わせてくれたのかもしれない。


正直、会うのはあのとき以来だから、気まずいし、ちょっと緊張もする。


だけど、ここで逃げてちゃ何も始まらない。


昔の、弱虫な私のままでなんか、いたくない…!

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