猫柳の咲く季節に
「あのっ、佐川さん」
私の声に振り返った佐川さんの顔は、昔の面影はあったものの、少し怖く見えた。
「なに?」
優しい声で、答えてくれた。
やっぱり、初対面だと思ってくれているのかな。
「えっと、あの…」
このタイミングで言おうかどうか、少し迷ってしまう。
もし、初対面だと思ってくれているのなら、後ででもいいんじゃないか。
そうしたら、また仲良く出来る…
友だちになれる…!
そんな期待が、私を惑わす。