猫柳の咲く季節に
「どういうこと?」
「本当は、私に何も言わないで勝手に永瀬さんの荷物準備して、勝手に行っちゃったんだから」
勝手に…?
「でも、正直、あの状況で永瀬さんに会っても、声を掛けられる自信がなかったんだ」
フェンスへ向かう、希美ちゃん。
私もそれについて行く。
「拓海がやったことは私たちに気を使ってくれたのか、それとも別の理由があるのかは分かんないけど、少し時間を置いてくれてよかったって思ってるんだ」
空を見上げて微笑んだ。
これが希美ちゃんの気持ちだって、自分に言い聞かせる。
きっと、時々見せる冷たい表情は私の勘違いだと。
大丈夫。
私は希美ちゃんの友だちに、再びなることが出来たのだから。