猫柳の咲く季節に



「永瀬は?」


「えっと…じゃあこれで」


私はメニューを指差す。


「へぇ、オレンジジュース好きなんだ!」


「うん」


『演劇部の涙』


それがオレンジジュース。


「すみませーん」


入谷くんが手を上げると、剣道着の店員さんがやって来た。


「ご注文はお決まりですか?」


「はい。『サッカー部の汗』と、『演劇部の涙』で!あと『帰宅部の放課後パフェ』もください」


「かしこまりました」


そのまま、重たそうな剣道着で、ゆっくり厨房へ向かって行った。


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