猫柳の咲く季節に


「っあ、ごめんなさい…大丈夫ですか?」


なんとか立ち上がって、手を伸ばした。


「うん、大丈夫…って、キミ、入谷の!」


「…はい。永瀬といいます」


「永瀬さん。ごめんね、大丈夫だった?」


先輩は私の手をとってゆっくり立ち上がった。


「俺、吉澤。よろしくね」


「え…あ、はい」


のんきに自己紹介してる場合じゃないんだけどな…


なんて、言えるはずもなく。


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