強引社長の不器用な溺愛
「午後は工場内とサプリメント開発のラボを見学しましょう。開発責任者を紹介します」


「キノコ工場なんて、見るのは初めてですよ」


俺が答えると、行方さんがニヤッと笑う。


「マスクにゴーグルで入ってもらいます。ビニール製の白衣も着て。場合によっては工場見学はご遠慮いただく場合もあるんです」


「厳重ですね。品質管理に厳しいとは伺っておりましたが、さすがです」


篠井の言葉に、行方さんが首を振った。


「もちろん、食品を扱うということもあるのですが、装備は見学者を守るためのものです。まれにキノコの胞子にアレルギーを起こされる方がいるんですよ。マスクも万全ではないので、体調がおかしいと思ったらすぐにおっしゃってください」


俺と篠井はほーっとため息。
ところ変われば品変わるじゃないけれど、業種が変わればそんなこともあるのか。

俺たちの前に湯気をたてる料理がやってきた。お、見た目100点。


「ラボは普段着で大丈夫です。そのまま、ラボで打ち合わせをしましょう。夜はこのレストランでささやかですがクリスマスパーティーを行いますので、ぜひご参加ください」


今日が泊りがけの出張なのは、このパーティーが理由でもある。
経営陣と仲良くしてこいっつうね。

まあ、一口食べてみたキノコハンバーグは美味しいし、今夜のパーティーもメシは期待大だな。

おっと、そんなことを口にしようものなら、篠井に睨まれること請け合い。
仕事はしますよ、はいはい。

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