強引社長の不器用な溺愛
行方さんが少し遠慮がちに言う。
「パーティーの招待客は、その……、県内の取引先がほとんどなんですが、副社長のお知り合いの方々がいらっしゃる予定でして。御社にはご同業かもしれませんが、本当に副社長のご友人というお立場でいらっしゃいますので。どうか、お気になさらず」
この件だ。敬三さんが心配していた、広告代理店クリエイターズフォレストの件。
副社長がごり押ししてくれば、安野産業とうちで決まった話がひっくり返るかもしれないっつう。
「そういえば、先ほどご挨拶させていただいた役員の方々の中で、副社長のお姿はなかったようですが」
俺の問いに、行方さんは答えるけれど、言葉を選んでいるようだ。
「副社長は……社長の奥様なんですが、マイペースと言いますか、……あまり経営自体に興味がある方ではございませんので。申し訳ありません。パーティーではご挨拶させていただきます」
なるほどね。社内でもそんな扱いね、副社長こと社長夫人。
ま、面倒なことにならなきゃいいか。
俺は気楽な気持ちで残りのハンバーグを切り分ける。
食事の後はオフィスに戻り、キノコ工場を見学する。
実際、キノコが生えている菌床部屋や、ベルトコンベアが行き交う流通部門まで。
あちこち気軽に見せてくれる。
「パーティーの招待客は、その……、県内の取引先がほとんどなんですが、副社長のお知り合いの方々がいらっしゃる予定でして。御社にはご同業かもしれませんが、本当に副社長のご友人というお立場でいらっしゃいますので。どうか、お気になさらず」
この件だ。敬三さんが心配していた、広告代理店クリエイターズフォレストの件。
副社長がごり押ししてくれば、安野産業とうちで決まった話がひっくり返るかもしれないっつう。
「そういえば、先ほどご挨拶させていただいた役員の方々の中で、副社長のお姿はなかったようですが」
俺の問いに、行方さんは答えるけれど、言葉を選んでいるようだ。
「副社長は……社長の奥様なんですが、マイペースと言いますか、……あまり経営自体に興味がある方ではございませんので。申し訳ありません。パーティーではご挨拶させていただきます」
なるほどね。社内でもそんな扱いね、副社長こと社長夫人。
ま、面倒なことにならなきゃいいか。
俺は気楽な気持ちで残りのハンバーグを切り分ける。
食事の後はオフィスに戻り、キノコ工場を見学する。
実際、キノコが生えている菌床部屋や、ベルトコンベアが行き交う流通部門まで。
あちこち気軽に見せてくれる。