強引社長の不器用な溺愛
そのきょとん顔がおかしくて俺は吹き出した。


「おまっ……宴会する気満々じゃねーか!!」


篠井が瞬時に頬を赤くし、怒り出す。


「だってですねぇ!こっちはクリスマスイブをつぶして出張に来てるんですよ?地元の美味しいものくらい楽しんだっていいじゃないですか!」


「いや、それにしたって結構な手間だっただろ?」


俺はひいひい笑いながら問う。篠井は首を振った。


「お酒もケーキもホテル側が取引あるので、お願いしたら用意してくれました。パンは散歩がてら買いに行きましたけど……って、私が楽しみたいだけですので!社長はお付き合いいただかなくてもいいんです!」


言ってから、またしても怒り出す篠井。怒るなよー。


「いやいや、いただきます。おまえの段取り上手なところ、俺大好き」


「おおいに感謝して、媚びへつらってください」


鼻を鳴らしながら胸を張る篠井。可愛いんだよ、いちいち。

俺は備え付けの冷蔵庫の中からとっておきのワインを出す。


「クリュッグのロゼ。うまいぞ」


篠井がおおっと嬉しそうな顔をする。
すごく強いわけじゃないが、篠井は美味しい酒が好きだ。

ワイングラスも借りてきてある。
準備のいい秘書のおかげで、俺たちはワインで乾杯をすることができた。
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