強引社長の不器用な溺愛
必要なものを買いそろえ、最後にケーキを見繕う。
ケーキとビールは合わないかな。私はまあアリなんだけど。

そろそろ社長と堂上さんが帰ってくるはずだ。
そしたら、今年もお疲れ様でしたの会を少々やって、本年終了。

忘年会はクリスマスの日に済ませた。
出張から帰ったばかりの私は、想像以上にクタクタで微熱もあったので辞退し、お金の関係だけ衿奈ちゃんにお願いして帰宅。
あとは、みんな勝手にやってくれたようだ。飲み会に関しては、任せても問題ない。

あの日、午後に帰社した社長はすっかりいつも通りで、忘年会にも元気に参加していたそうだ。

クリスマスイブの出来事が私には重く重くのしかかる。


「私、最低」


荷物とケーキを手にぶらぶらオフィスに戻りながら、もう何度目かの猛省を口にする。

出張の夜、酔った社長に迫られた。

ベッドに押し倒され、キスされそうになった。

私が拒絶しなかったら、たぶん、私は社長に処女を捧げることになったのだと思う。

近づいてきた唇を拒否し、今までの勝手なキスを謝罪した。
偉そうな大人女子の仮面をかぶっての謝罪だったから、社長はきっと嫌な気分だったと思う。

ともかく、それで終了。

本当に私、最低だ。

社長に勘違いさせたのは私なのだ。
“簡単にキスできる女”だって。
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