強引社長の不器用な溺愛
待つこと、1時間。予想外のことが起きた。

門が開いたのだけど、そこからなぜか社長が出てきた。
すっかり用事が済んだとばかりにすっきりした表情だ

なんで?なんで、もうおうちから出てきちゃったの?
これから訪問するんじゃなかったの?

今、9時半ですけど!?早くない??


「社長!!」


驚きのあまり、なんの配慮もなく路地から飛び出してしまう私。

すると、社長と後ろに幸弥さんの姿。
どうやら、社長を送りに出てきたみたいだ。


「篠井?おまえ、なんでここに」


「ど……堂上さんから、ご住所聞いて……。お母様に説明に行くなら、やっぱり私もって……」


焦りながら説明する私に、幸弥さんが意味深な微笑みを向ける。
ああ、なんか幸弥さんに色々勘ぐられてそうだなぁ。


「もう、お話は済んじゃったんですか?」


「ああ、今日、両親は旅行の予定があったから。俺、8時にここに来たんだ」


早い!早いよ!
そりゃ、間に合わないよ!
リサーチ不足の私が憎い!


「まぁ、今、旅行ってテンションじゃなくなっちゃったけどな」


社長が苦笑いし、幸弥さんがすまなさそうにうつむく。
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