強引社長の不器用な溺愛
「ラペって何?」
「サラダのことみたいですよ」
こんな会話をしながら向かい合うのは、私・篠井絹と、このたびめでたく交際スタートの運びとなりました八束東弥。
バタバタの告白劇から6日経った金曜日、私たちは行こうと言っていたビストロにようやく訪れることができた。
「あ、やばいわ、これ。美味いわ」
「ホントですね。この後のブイヤベースに期待大です」
「パン屋だけあって、パンが美味すぎて止まらない」
「パン屋っていうか、ブーランジュリーって言うんですよ」
「意味一緒だろ?」
入店してすぐ、メニューに魅了されている私たち。
適当にちょこちょこ頼んだ前菜が美味しくて、くだらない会話弾む。
こうして、社長と恋人同士になってやってくるとは思わなかったなぁ。
ニンジンのラペを口に運びながら、しみじみ思う。