強引社長の不器用な溺愛
社長の腕が私を捕まえた。

夜間は営業していない古着屋のシャッターに私を押し付け、貪るように唇を奪ってくる。

ワインの味のキス。
柔らかく触れ合った唇は、すぐにトロトロに融解しそうに交わる。


「……っ、東……弥……さんっ!」


は……と息をつくと、低く命令してくる社長。


「キスは拒むな」


拒めるわけがない。私にとって、そもそもの始まりはこのキスだったんだから。

蜜みたいに甘い、あなたの唇に、私は溺れ切ってる。

ちょっと前まで想像がつかなかったこの恋。
私の運命を大きく変えてくれちゃったんだから、責任とってよ?

私は誰も見ていないのをいいことに、社長の頭を引き寄せ、角度を変えて深く唇を味わった。


「今日は帰すつもりでいたけど」


暫時唇を離し、社長がこぼした。


「やっぱ、無理」


吐息まで甘い。
私は愛しい彼の頭を掻き抱いた。


社長の蜜な唇が、私を虜にして離さない。






<end>






2015.12.22



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