強引社長の不器用な溺愛



篠井絹、28歳。
結構なピンチ到来であります!

幸せなキスで愛を再確認した私たちですが……、
すっかり盛り上がった結果、私はビストロの帰り道に社長ーーー東弥さんの部屋に連れ込まれてしまった。

この人に教えてもらったキスはひどい麻薬。
なんて、言い訳しててもしょうがない。私も離れがたいなぁなんて、思ってしまったんだから。

何度か玄関やリビングまでは入ったことのある、東弥さんの1LDKのマンションにおずおずと侵入する。(これ以外の言い方が思いつかないほどの狼狽!)

ふたりで別々にシャワーを浴びて、東弥さんに借りたぶかぶかのトレーナーとハーフパンツという、色気のない格好に着替え、現在リビングの絨毯の床で正座で向かい合う私と東弥さん。

なにこの状況。
どうして、こうなった。


「えーと、寝室行く?」


ここにきて、一気に弱腰に聞いてくる東弥さん。
もしや、私の色気のない湯上り姿を見て、気持ちが萎えた?いや、そんな感じでもない。


「えっと、もう少しここで話しません?」


不安と焦りを覚えながら、ベッドインを少しでも引き延ばそうという私。


「何を?」


「えーと、株価とか」


「絹、一周回って激しく馬鹿だな」


悪かったですねぇ!!
でも、緊張感が拭い去れないんですよ、こっちは!!
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