強引社長の不器用な溺愛
「夢かどうかもう一回しとく?」


「そんなドラマみたいなこと言って」


私は彼の身体沿いに這い上がり、自らキスをした。しっとりと熱のこもったキス交わし、昨日痛みと快楽を覚えさせられた部分が疼くのを感じた。
ああ、私、もうこの人が欲しくなってる。欲張りだ。

自分の知らなかった一面を恥ずかしくも嬉しく感じつつ、敢えて身体を起こした。


「絹?」


急に起き上がりベッドに座った格好の私を、東弥さんが寝ころんだ姿勢で見上げている。


「東弥さん、起きてシャワー浴びて朝ごはんにしましょう。昨日のビストロでパンを買ってあります」


意外そうな顔をされる。そうだよね、今の雰囲気だったら、甘い朝をもう少しって感じだよね。
だからこそ、提案する。


「それから二人で出かけましょう。初デートをするんです」


東弥さんが「あ」と短くつぶやく。気づいたみたいだ。


「そっか、メシや酒はあったけど、デートっつうのはまだしてないな」


「ね、6年も一緒にいるのに、ほとんどの思い出はオフィスでしょ?私、東弥さんとお日様の下で思い出を作りたい」


仲間で相棒から始まった私たち。居心地の良さはお互い折紙付なんだもん。これからは、もっと楽しいことを覚えていこう。
二人で行けるところはどんどん行って、二人で笑えることをたくさんしよう。
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