強引社長の不器用な溺愛
「どこに行きたい?」


「初心者カップルとして、映画とかどうでしょう?今、ドラマでやってた医療モノの劇場版やってるんです。ドラマ見てなくても楽しめますから」


「おまえ、なーんか、そのへん詳しそうだよな。ドラマとか映画とか」


私はへへへと苦笑い。インドアな本性は徐々にバラしていく方針であります。


「ま、いいや。その後、堂上たちの結婚祝いを選びに行こう」


「知らなかった!やっぱりそうなんですか!?」


「うん、今、言った。兄貴たちのところより早そうだから。もう準備しちまおう」


今まではお互い別個に考えることを、恋人同士として二人で考える。きっと渡すときも連名だ。
家族みたい。そんなのすごく幸せ。


「夜は、ここに帰ってきましょう」


「メシ作ってくれよ」


「もちろん。それから、二人でのんびりして、眠るんです」


「エロいことした後な」


望むところです。……言わないけど。

もっと早くこうなっていれば、私たちの人生は違ったはず。
結婚していただろうか。うーん、案外もう別れて別々な道を歩いていたかもしれない。

このタイミングでよかった。

出会った頃は若さばかりが目立つ荒削りな私たちが、6年の熟成期間を経て溶け合った。
それは、すごく幸福なこと。
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