強引社長の不器用な溺愛
「エステは誕生日割引で一回しか行ったことないですし、ゴルフなんかルールもわかんないです。グルメよりドラマ見ます。ちなみに、高層階のバーラウンジとか、ホテルのスイートルームなんていうのも未経験です」


「だろうな!おまえの見栄すごいわ!セルフマーケティング激しすぎて、気づかなかったわ!」


騙されたーと頭を抱える東弥さんの横で、私はのんびりコーヒーをすする。

東弥さんの淹れてくれたコーヒーは美味しい。
がさつでテキトーな人なのに、自分で淹れるコーヒーにはこだわりがあるのだ。
うちのどこにでもあるコーヒーメーカーでも、一味違うんだからすごい。

長く一緒にいたのにね。恋人として過ごすようになって、新たに知ったことばかりだよ。


「絹のこと、ちゃんと見てなかったんだな、俺」


ちらりと横を向くと、がっくりと肩を落とす東弥さん。
私はことんとマグをローテーブルに戻して、覗き込む。


「好きになった女なのに、俺きちんと本性見抜けてなかった……」


え?え?

そんなにショックを受けちゃった?
私の壊滅的インドアライフに?

っていうか!呆れられてる?
想像してたイイ女じゃなくて、嫌になった?
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