強引社長の不器用な溺愛
東弥さんがものすごく照れた表情をして、視線をそらした。


「俺が言いたいのは、おまえの『デキル女』な部分ばっかり見てたっつう後悔。こういう、隙だらけでだらけまくった篠井絹を見てたら、もっと早く惚れてたなあっつう……なんていうか、惜しいことをしたような。気付けなかった俺バカとか、そういうさ……」


それって、つまり。
だらだらインドアな私でも好きってことですか?

そうとっちゃっていいですか?

私は胸に湧き上がる嬉しさと安堵を感じながら、彼の言葉を待つ。


「おまえの色々な面を見るたびに好きになりまくってんだよ、こっちは。何でも可愛く見えちまうんだよ。惚れた弱みだ、チクショー」


軽く悪態をついて、そっぽを向いてしまう東弥さん。

なにそれ、惚れた弱みならこっちもなんですけど。大好き過ぎるんですけど。


「よかった……」


思わずもれたため息。私は目尻の涙をごしごしとこすった。嫌われなくて、本当によかったよ!

不思議なもので、安堵がワクワクとした喜びに変わっていく。

私はそろりと腕を伸ばし、ソファの上で東弥さんに抱きついた。

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