強引社長の不器用な溺愛
その時、俺はこう答えた。


『誰かがいなくて成り立たないなら、そんな会社は潰れるべきだ。あいつが急に抜けたら、俺が補う。それでどうにかなる』


いつものビッグマウスを叩いてみて、ようやくそこで思い至った。

そうか、篠井だっていつまでも俺の元にはいない。

好きな男と結婚したら、女子というものは人生のステージが変わる。
社会的な扶助制度の問題よりも、心情的な部分で、どうしたって夫と子ども優先になる。

その時、篠井は俺のサポートを今と同じようにはこなせないだろう。
もしかすると、寿退職ってこともあり得る。

いや、そもそも篠井には付き合ってる男はいるのか?
みんないると思ってるけどどうなんだ、実際は。

……そんなことを考えていたせいだろうか。あんなことをしてしまったのは……。

頭を抱えたくなる。

何をしてしまったのか。

……そりゃ、キスだよ、キス。
べろちゅーだよ。すんごいエロいの。

俺、本当に何をしたんだか。
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