強引社長の不器用な溺愛
おとなしくトリダシの細麺をすすっていると、堂上が言う。
「なぁ、八束ぁ、俺、結婚しようと思うんだ」
むせた。
いきなりの告白にむせた。
「え?相手はリカちゃん?」
「気安くちゃん付けやめてくんない?」
堂上は大学時代から付き合っているひとつ下の彼女がいる。
さては、30を目前に長すぎた春を責められ、結婚をせっつかれたってところだろう。
優男を絵に描いたような堂上が結婚を決意したなんてよっぽどだ。
「よかったじゃん。リカちゃんもホッとしてるだろ、おまえがようやくもらう気になってくれて」
「おー、まあ、一番最初に報告してみた」
堂上がサラダを咀嚼してから言う。
「恥ずかしながら、結婚っていうものをようやく真面目に考えだしたよ。長く付き合ってる女に責任はあるよな。俺らもう30歳。この会社を一緒に始めた生駒(いこま)だって、もう母親なんだぜ」
「いつまでも大学生気分じゃいられない。着実に歳は取ってる」
答えつつ、懐かしい名前に少し感傷的になる。
生駒はこの会社の創業メンバーで、翌年転職した。その後会社の上司と縁付いて今や二児の母だ。
内緒の話だが、生駒のことが少し好きだった時期がある。
だから、会社に誘ったんだけど、結局気持ちを伝える前にいなくなってしまった。
うまくいかないもんだ。
「なぁ、八束ぁ、俺、結婚しようと思うんだ」
むせた。
いきなりの告白にむせた。
「え?相手はリカちゃん?」
「気安くちゃん付けやめてくんない?」
堂上は大学時代から付き合っているひとつ下の彼女がいる。
さては、30を目前に長すぎた春を責められ、結婚をせっつかれたってところだろう。
優男を絵に描いたような堂上が結婚を決意したなんてよっぽどだ。
「よかったじゃん。リカちゃんもホッとしてるだろ、おまえがようやくもらう気になってくれて」
「おー、まあ、一番最初に報告してみた」
堂上がサラダを咀嚼してから言う。
「恥ずかしながら、結婚っていうものをようやく真面目に考えだしたよ。長く付き合ってる女に責任はあるよな。俺らもう30歳。この会社を一緒に始めた生駒(いこま)だって、もう母親なんだぜ」
「いつまでも大学生気分じゃいられない。着実に歳は取ってる」
答えつつ、懐かしい名前に少し感傷的になる。
生駒はこの会社の創業メンバーで、翌年転職した。その後会社の上司と縁付いて今や二児の母だ。
内緒の話だが、生駒のことが少し好きだった時期がある。
だから、会社に誘ったんだけど、結局気持ちを伝える前にいなくなってしまった。
うまくいかないもんだ。