強引社長の不器用な溺愛
堂上は残りのカレーをさくさくと食べ進める。そして言った。


「ともかく、一度考えてみたら?篠井のこと、公私ともに支え合えるパートナーにできるのか」


考えねーよ。アホか。


「篠井、美人だし。捕まえとくなら早めがいいとは思うけど」


話にならんというように首を振って、俺はタイヌードルを片付けるのだった。




堂上とふたり、オフィスに戻る。
こいつの結婚式どうなるのかな、祝いに何を贈ろうか等、本人に言えばいいことをぼんやりと頭の中で考える。

話題にしないのは、また篠井の件を持ち出されたくないからだ。

篠井を嫁さんに?
なんだそれ、お互い失礼にもほどがあるだろ。

『ずっと俺の仕事を支えてほしいから結婚してください』とか言うのか?

あ、ダメだ。
なんか、これじゃ中途半端にガチなプロポーズっぽい。

違うんだよ。
俺的には多少なりとも結婚っつうのは、愛を誓うって話なんだから、そーいう打算とは無縁のところにあって。
でも、そんなことをはっきり言ったら乙女過ぎる。だから、言わないってだけで。

見た目以上に、そのあたり固いんだぞ、俺は。

ああ、だから後悔してんだよ。

1週間前のキスをさ!
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