強引社長の不器用な溺愛
「いや、帰りは割り切ってタクシーで帰る」


俺の家はこのオフィスの近所のマンション。
電車がある時間なら、タクシーで八王子に戻って、電車で吉祥寺まで帰ってくればいい。
タクシーでここまで帰っても、ポケットマネーなら問題なしだ。


「私でしたらお気になさらず。時間潰すの得意ですので」


「今日は男と会わないのかよ」


口にして最高に後悔した。
セクハラ発言にもタイミングってもんがあるだろ。

こいつに恋人なんかいないと想像しながら、確かめようとカマかけて、だっさいことこの上ない。


「訂正、やっぱ送りだけでいいわ。運転手頼む」


俺は言って、デスクに戻った。
篠井が何か言いたげな雰囲気は見せたけれど、黙っていた。





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