強引社長の不器用な溺愛
服も、最近は安くてかわいい通勤服はすぐに見つかる。
下着なんか、駅前のでかいスーパーで買うしね。

つまりは、デキル美人秘書・篠井絹は思いっきりロープライスで出来上がっているってことよ。

心の栄養は、ドラマ視聴じゃい。
これで充分じゃい。

本日ガン見しているのは、女たちの職場でのバトルもの。
女として、仕事も恋も負けられないゾ☆的な話ね。

これ系ジャンルは海外ドラマも面白いし、一時はハマってたんだけど、やっぱり日本のオフィスの方が共感できるんだよね。
あー、それわかるーみたいな。

まあ、うちの職場の女子、みんなイイ人ばっかりだけど。
仲良しすぎて、バトル要素ゼロだけど。

ふと昨日、ウェブデザインの沙都子さんと話した内容が浮かぶ。


『絹さん、元気ない？』


仕事中不意に肩を叩かれて、私は『うおっ』とか小さく叫んだ。フロアに人が少なくてよかった。
沙都子さんが右斜め後ろから私を覗き込んでいた。


『今週、ずっと覇気がないわ。体調、悪いの？』


沙都子さんは長いまつげを伏せ、心配そうな表情。

ダークブラウンの髪を横流しにひとつまとめにした彼女は、確か35歳。
シングルマザーではあるけれど、まだ匂い立つほどに美しい人だ。
たぶん、若い頃はモテまくり、男なんてよりどりみどりの羨ましい状況だったに違いない。
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