強引社長の不器用な溺愛







モヤモヤっとした気持ちが仕事に影響したわけじゃない。
たまたま、客先でトラブルがあり、対応で社長と堂上さんが出かけ、方々からくる電話の窓口を社内でしていたせいか、いつもの業務が遅れたのだ。

えーと、まずは相手がいる仕事から片付けよう。

オフィスのコピー機がおかしいのでリース会社に連絡、先週社長が何か引っ掛けて壁紙が剥がれたのでビル管理会社に連絡(謝罪も!)、
来週の社長の出張の日程が変わったので各方面調整。

あとは、みんなの有休残数を数えてそれぞれ告知メール。
消滅期限も送って『どこかで有休取ってくれや。ワークライフバランス最悪のブラック企業になるわけにはいかんのよ』という内容を柔らかい文言でアピール。

それから、3月の社員旅行の場所を探す。
学生の卒業旅行シーズンなので、なるべくかぶらない枯れた感じの温泉にでもしよう。
結局のところ、お酒飲んで騒げればいいんだから……。

はっと気付くと時刻は23時。
気付いたらこんな時間だ。

経費が多い会社じゃない。
なるべく電車のある時間内に帰ってもらっているのに、私がのんびりタクシー帰宅じゃいけない。
それに週の頭じゃないか。早く帰ろーっと。

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