蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
「「・・・・・」」

三条先生は雪愛を支え、アパートの二階を目指し、ようやくたどり着いた雪愛の部屋。その部屋の前で、2人は絶句していた。

…また、ドアと郵便受けにいたずらがされていたのだ。

「なんだよこれ」

三条先生は、誹謗中傷の張り紙をドアからすべて剥し、郵便受けの物をすべて取り除いてくれた。

ソファーに座っていた雪愛だったが、三条先生を見て、深い溜息をついた。

誰にも知られたくなかったのに・・・・と。

・・・片付けを済ませた三条先生は、雪愛の前に座り、雪愛を見据えた。


「…あれは一体いつから?」
「…数週間前から、です」

「…誰にやられたか、見当はつくの?」
「・・・一応、確信はありませんけど」

雪愛の答えに、三条先生は溜息をついた。

「…姉さんだね?」
「・・・・・」

・・・流石に、三条先生も察したらしく。その答えがすぐに出てきた。

「・・蘇芳先生は、この事知ってるの?」
「蘇芳先生には!・・・・蘇芳先生には、この事は言ってません。言うつもりもありません」

「・・・なぜ?」
「私自身には、何の被害もないし、…蘇芳先生にいらぬ心配はかけたくないから」
「蘇芳先生は、君のなに?」

「・・・え」

怒った表情でそう言った三条先生。雪愛は答えに困った。
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