蕩けるくらいに抱き締めて（続き完結）

…それから一週間は、歩くのもままならかった雪愛。そんな雪愛を、蘇芳先生はお姫様扱いをした。

家事・炊事雪愛の身の回りの世話を、かいがいしくこなしていく蘇芳先生。

「蘇芳先生、１人でするから大丈夫ですよ、蘇芳先生も疲れているのに」
「いいんだ。…俺が勝手にしたいんだから、雪愛は何も気にしないでいい。雪愛はただ、足が治るまで大人しくしてろ」

「…蘇芳先生、それじゃあ、私は食べるばかりで、子豚になっちゃいますよ？それでもいいんですか？」

困ったように言う雪愛を見て、蘇芳先生は笑った。

「子豚か・・・それも悪くない」
「…ぇ？！イヤですよ！私は」

蘇芳先生の言葉に、本気で嫌がる雪愛。それを見て、蘇芳先生は面白がっている。

「・・・まぁでも、このカワイイうさ耳のついたパジャマが着られなくなると困るからな」
「・・・」

蘇芳先生は、本当にこのパジャマがお気に入りで、これを着てる雪愛を抱きしめて離さなくなる時もしばしば。

未だに慣れない雪愛は、プクッと口を膨らませ。

「…分かりました。子豚になって、このパジャマ、着られないようになりますよ」

なんて言ってみる。

雪愛の言葉に、苦笑した蘇芳先生は。

「わかった、太らなくていい、いや太るな…でも、その足が動かない今は、どうしようもないだろう？」
「…ぅ」

「…分かったら、もうしばらく、大人しくしてる事だな」

その言葉に、雪愛は完敗だ。

「でもその代わり、治ったら、これでもかってくらい頑張ってもらうからそのつもりで」

そう言って意地悪な笑みを浮かべた蘇芳先生に、雪愛は怪訝な顔をした。

「…その方が怖いですけど」

雪愛の言葉に、蘇芳先生は笑った。