蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
9.先生、お別れのお時間です
…それから更に一週間の月日が流れ、三条先生の診断通り、雪愛の足は完治した。
そして今日から、仕事に復帰する。
…甘い甘い、同棲生活も、終わりを告げようとしていた。
「…仕事が終わったら、駐車場で待ってる」
三条先生と廊下ですれ違う際、すれ違い様に言われ、雪愛は唇を噛み締めた。
…答えを出す時が来たのだと。
外科の外来を担当する雪愛は、動揺を見せないように必死だった。
蘇芳先生とペアだったから尚更だ。
ただ、蘇芳先生の指示に忠実に仕事をこなしていく。笑顔も絶やさず、いつも通りに。
…仕事を無事に終え、先に帰る雪愛。蘇芳先生は今夜も遅くなると言っていた。
カバンを握りしめ、駐車場に向かうと、三条先生の車が見えた。
助手席の窓を叩くと、窓が開き、入るよう促された。雪愛は頷いて、車の中へ。
「…答えは決まった?」
「…」
「考える時間は十分にあったはずたよ」
「…ちゃんと決めましたよ」
視線を合わせることなく雪愛は言う。三条先生も黙って、雪愛の言葉を待った。
「…蘇芳先生とは、別れます。だから、蘇芳先生を、この病院にいさせてください」
「…それが、雪愛ちゃんの答えなんだね?」
「…はい」
「…泣かないで、頼むから」
「…泣いてません」
雪愛。乱暴に自分の目をこする。三条先生は雪愛の手を掴んだ。
そして今日から、仕事に復帰する。
…甘い甘い、同棲生活も、終わりを告げようとしていた。
「…仕事が終わったら、駐車場で待ってる」
三条先生と廊下ですれ違う際、すれ違い様に言われ、雪愛は唇を噛み締めた。
…答えを出す時が来たのだと。
外科の外来を担当する雪愛は、動揺を見せないように必死だった。
蘇芳先生とペアだったから尚更だ。
ただ、蘇芳先生の指示に忠実に仕事をこなしていく。笑顔も絶やさず、いつも通りに。
…仕事を無事に終え、先に帰る雪愛。蘇芳先生は今夜も遅くなると言っていた。
カバンを握りしめ、駐車場に向かうと、三条先生の車が見えた。
助手席の窓を叩くと、窓が開き、入るよう促された。雪愛は頷いて、車の中へ。
「…答えは決まった?」
「…」
「考える時間は十分にあったはずたよ」
「…ちゃんと決めましたよ」
視線を合わせることなく雪愛は言う。三条先生も黙って、雪愛の言葉を待った。
「…蘇芳先生とは、別れます。だから、蘇芳先生を、この病院にいさせてください」
「…それが、雪愛ちゃんの答えなんだね?」
「…はい」
「…泣かないで、頼むから」
「…泣いてません」
雪愛。乱暴に自分の目をこする。三条先生は雪愛の手を掴んだ。