蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
院長の言葉に、蘇芳先生は反吐が出そうだった。

「…院長、私は、島崎さんと別れるつもりはありませんし、薫子先生と結婚する気もない。自分の将来は自分で切り拓きます」

蘇芳先生の言葉に、院長は笑った。だがすぐに、顔が険しくなった。

「自分で切り拓くか…だがその前に、蘇芳君、君を私が潰すと言ったら?」
「…」

院長の言葉に、怪訝な顔をする蘇芳先生。

「…まぁ、今頃啓介は、君の大事な彼女と一緒のはずだ」
「なっ」

「…もう、君達が別れるのも、時間の問題だろうが」
「…」

院長の言葉に、蘇芳先生は何も言い返すことができなかった。

「…そうだ。君は、自分の将来は自分で切り拓きますと言ったな?彼女の為を思うなら、この病院を去ってもらおうか?…次の居場所が見つかるまでは、君をここに置いておく。それくらいはさせてもらう…さがりなさい。話は終わった」

そう言った院長は、シッシッと、手で蘇芳先生を追い払った。
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