蕩けるくらいに抱き締めて（続き完結）
…由紀と話しているうちに、いろんな事を考えられるようになってきた。

…自分が今どうすべきなのか。

…蘇芳先生が今、どこにいるのかなんてわからない。

…でも、それでも雪愛は蘇芳先生の事が好き、大好きだ。

…その気持ちを捨てるなんて到底出来っこない。

…こんな熱い想いを抱えたまま、三条先生と結婚なんて出来ない。…しちゃいけない。

蘇芳先生への想いが蘇芳先生に届かなくても、この想いがあれば、大丈夫。そう思えた。

「…由紀ちゃん」
「…ん？」

「…ありがとう」
「…何言ってるの？友達でしょ？大体私は何にもしてない。どうでもいい話をしただけよ」

由紀の言葉に、雪愛は首を振った。

「…ううん、由紀ちゃんと、話をしてよかった…何もかも投げ出してたから。私、三条先生に結婚の話し断る」

「私も行くよ」

「…ううん、その気持ちだけで十分。ちゃんと、三条先生と向き合ってくる」

雪愛の目に、光が戻った。それがわかった由紀は、ニコリと笑った。

「わかった。雪愛がそう言うなら、何も言わない。でも、何かあったら、いつでも言って？三条先生のところに乗り込んでやるから！」

由紀の言葉に、雪愛は少し笑った。

「…由紀ちゃんなら、本当にやりそう」
「当たり前じゃない！大事な友達傷つける男なんて、めっためたにしてやるんだから」

二人は、顔を見合わせて笑った。
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