蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
…それから数日間。雪愛は三条先生に会う事が出来なかった。

…今までは、雪愛が三条先生から逃げていたが、今度は三条先生が、雪愛から逃げているようだった。

…会えなくなって、気が付けば、数カ月が過ぎていて、もう、年末になろうとしていた。

…そんな中、三条先生が、自ら、会おうと言い出したのだ。雪愛は断ることはせず、会う事にした。

…会った場所は、三条先生と初めて食事をしたレストランだった。

…緊張して、食事が喉を通らない。

「…この数カ月間、俺に会えなくて、少しは俺の事を考えてくれた?」

食事中、三条先生が雪愛に問いかけた。

「…えぇ…嫌という程」

雪愛の言葉に、三条先生は苦笑する。

「…雪愛ちゃんは、俺の事が嫌い?」
「…その答えを聞きたいですか?」

そう言った雪愛は、三条先生を睨んだ。

「…あぁ、雪愛ちゃんの口から、聞きたい」
「…嫌いですよ…私は三条先生、貴方の事が、大っ嫌い」

「…そう…そうだよね。…わかってるけど、どうして雪愛ちゃんをこんなに好きになってしまったんだろうね。…雪愛ちゃん、俺は君が好きだよ」

「…三条先生、結婚止めませんか?いいえ、止めましょう。想いが違うのに、結婚なんて出来ない。したくありません」

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