蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
…そして迎えた週末。雪愛は母と共に、指定されたホテルに向かった。

「…ねぇ、やっぱり一人で行くよ。お母さんは帰って」

顔色の悪さは化粧で幾分隠れてはいるが、立ってるのもやっとと言う感じの母に、雪愛は胸を痛める。

「…頼りない娘でゴメン」
「…おバカさん。貴女は私の大事な娘よ。貴女の幸せを一番に願ってるんだから」

そう言って母は微笑んだ…早く話を終わらせて、母を病院に連れて行こう。そう思い、雪愛は、母の手をギュッと握りしめた。

「…お待たせして申し訳ありません」
「いやいや、こちらこそ、急な申し出を快く承諾してくださって嬉しいです。とりあえず、立ち話もなんですから、お座りください」


院長の言葉に、雪愛達は座った。

「…今回、うちの愚息が、島崎さんと、結婚したいと申しておりまして、とりあえず挨拶をと思いまして」

院長の言葉に、母は直ぐに反論を始めた。

「…今回の結婚の話し、私はこの子の母として、受け入れることはできません」
「なっ⁈」

母の言葉に、院長は驚きの眼差し。…二つ返事で会う事を受け入れた母から、まさか、こんな言葉が出るとは思ってもいなかったのだろう。
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