蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
…その夜、蘇芳先生は、とことん雪愛を甘やかした。

…久しぶりに繋がった身体は、決して離れる事なく、互いを求め合った。

…。

次の日の朝。

離れたくないけど、お互い仕事がある。でもその前に、雪愛は蘇芳先生と共にT大付属病院に向かい、母に会った。

「…お母さん、気分はどう?」
「…こんなにたくさんの管に繋がれてたら、気分は良くないわね」

そう言って、母は苦笑する。

…点滴、バイタル確認、酸素もまだ、普通にするのはキツイらしく、マスクも付けていた。

…それでも、手術をした事によって、青白かった顔は赤みをさし、少しずつ快方に向かっている事がわかり、雪愛は安堵した。

「…もう少しの辛抱だよ。もっと良くなったら、管の量は減るし、ICUから、一般病棟に移れるから」

雪愛の言葉に、母は微笑んだ。

「…今日は、仕事?」
「うん」

「…三条先生に会うの、辛くない?」
「…あー、うん、大丈夫」

大丈夫…ではないけれど、もう心配はかけられない。今は、病気を治す事に集中してもらいたかった。

「…大丈夫ね。…蘇芳先生がいるから」
「…え?…あ」

母の言葉に振り返ると、白衣姿の蘇芳先生が立っていた。
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