蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
…その日は、三条先生に会ったのは一度だけで、あとは会わなかった。

内心ホッとしつつ、アパートに帰る。

…蘇芳先生は、もう離れていたくないと雪愛に言い、雪愛もまた、同じ気持ちだったので、週末、お互いの休みが重なる事もあり、引っ越す事になっている。

…次の日、また次の日も、三条先生に会う事はなく、諦めてくれたんだと雪愛は思っていた。

…そして週末、雪愛と蘇芳先生は引っ越し業者と共に、荷物を運び出した。

駐車場に向かい、蘇芳先生は雪愛を助手席に乗せようと、ドアを開けた。

「…雪愛ちゃん」
「…三条、先生」

雪愛の顔色が変わる。蘇芳先生は、雪愛を守るかのように、自分の後ろに雪愛を隠した。

「…なにしにきたんですか?」
「…決着をつけに来ました」

三条先生の言葉に溜息をついた蘇芳先生は、雪愛に業者に先に行くよう頼んでもらいに行かせた。

「…諦めの悪い人だな」
「…それだけ、本気だという事です」
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