蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
「…いつから一人で悩んでた?」
「…色々決めた後すぐくらいからです」

…雪愛の答えに、蘇芳先生は少し怒ってみせた。

「…結構長い事悩んでたんだな。…俺は、そんなに信用ない?」

その言葉に、雪愛は首を振る。

「蘇芳先生、開業の為に凄く頑張ってるし、私を看護師として必要としてくれて、それなのに、体調良くなくて、こんなんじゃ助けてあげるどころか、足を引っ張って、ガッカリさせるんじゃないかって…」

そう言って俯いてしまう雪愛の頭を蘇芳先生は優しく撫でた。

「これからはもう、一人で悩むな。何でも2人で考えよう。悲しい事や辛い事は半分に出来る。嬉しい事は2倍になる。分かった?」

「…はい。これからは、一人で悩まないで、ちゃんと相談します」

「ん、よろしい」

そう言って微笑んだ蘇芳先生を見て、雪愛も微笑んだ。

…これからは、ずっとずっと、一緒にいるのだから、その事を忘れないように、心に刻もうと雪愛は胸に手を当てた。
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