蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
「…ここに来たという事は、ちゃんと話ができたんだね?」

「はい…その節は、本当にありがとうございました。…ぁ、お父様、確かお医者様でしたよね?…もしかして、蘇芳先生が医師になったのって…」

「…親父の影響もろに受けた」

そう言って、蘇芳先生が笑う。

「まさか、看護師のお嫁さんを連れてくるところまで一緒だとは思わなかったけどな」

「…親父、一言多い」

お父さんの言葉に、蘇芳先生が一喝した。

…とても仲の良い家族だという事がわかり、雪愛は肩の力が抜けるのが分かった。

「…お母さ様も、看護師何ですか?」
「フフ、そうなの。大学病院で看護師をしてて、そこでお父さんと出逢って…」

「…大学病院?」

雪愛は、蘇芳先生を見上げる。

「T大付属病院の外科で、教授してるんだよ。…親父と、院長は、同級生で…そんなつてがあったからこそ、大学病院のバックアップが得られたんだよ」

…全てのタネ明かしに、雪愛は驚く。

「…雪愛さん」
「…はい」

「…出産する病院は、もう決めてるの?」

お母さんの問いに、今の病院だと答えた雪愛。

「…もし良かったら、T大付属病院の、産婦人科で産まない?」

「…え?」
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