蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
お母さんの提案にキョトンとする雪愛。

「看護師の仕事をしながら、助産師の資格も取って、今は、産婦人科で、助産師として働いてるの。…実は、自分の孫をこの手で取り上げたくて取得したんだけど」

そう言って、お母さんはペロッと舌を出した。

「…雪愛が嫌なら断って良いからな?母さん、いつもこんな感じだから」

そう言って溜息をつく蘇芳先生。

でも、雪愛からしてみたら、なんと心強い事か。

「いいんですか⁈」
「…え」

雪愛の言葉に、蘇芳先生が驚く。

「…お母様がそう言ってくれるなら、転院します!」
「嬉しい!是非来て!絶対安産させるから」

と、意気投合してしまった。

それを見ていたお父さんと蘇芳先生は顔を見合わせて、笑った。

…楽しい時間と言うものは、あっという間に過ぎていく。

夕飯までご馳走になった雪愛達だったが、自宅に帰る事に。

「…今日は本当に楽しかったです」
「私もお父さんも、楽しかったわ。雪愛さんが、秀明のお嫁さんになってくれて、本当に嬉しい…ありがとう」

お母さんの言葉に、雪愛は嬉しくて目を潤ませた。

「また、何時でも遊びに来て、あ、出産準備も手伝うから。あ!お母様にも、挨拶に行かなきゃね」

「はい。母も会いたいって言ってました」

「…また、日にちが決まったら連絡するよ」

蘇芳先生の言葉に、お母さんは頷くと、二人は車に乗り込み帰宅した。
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