蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
「…ボク、お名前は?」
「…光希(みつき)」

名前を教えてもらい、雪愛は笑顔で頷いた。

「光希君て言うんだね。私は雪愛って言うの。ここの看護婦なんだけど、光希君、ケガしてるから、手当てしてもいいかな?」

「うん、いいよ。…ママやパパは?」

グスグスと鼻をすすりながら、光希君が雪愛に問いかけた。

「…大丈夫。腕のいいお医者様が、助けてくれたよ」

そう言って微笑むと、光希君は安心して、声を上げて泣き出し、処置を済ませた雪愛は、光希君を抱っこして、優しく背中をトントンとした。

そこに、間もなくして病院からの連絡で到着した光希君の祖父母が、光希君を引き取りに来て、ICUに向かった。

それを見届けた雪愛は、救急外来の看護師達に挨拶をして、自分の持ち場に帰る。

「…雪愛ちゃん、お疲れ様。ヘルプありがとう、助かったよ」

そう声をかけてくれたのは。

「…三条先生、お疲れ様です。救急なんて、研修の時以来なんで、緊張しました」

そう言って、雪愛は苦笑いした。
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