蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
…三条先生と別れ、三条先生の携帯番号が書いてある紙を見ながら、どうしたものかと考えながら帰っていると、夜間出入口のドアの向こうに、蹲る人影が見えて、雪愛は慌てて外に出て声をかけた。

…この行動が、雪愛は危ない目に遭うことに。

…相手は、ただの酔っ払いで、もう家に帰ると言うので、雪愛は帰ろうとしたが、酔っ払いに絡まれ、終いには押し倒された。

「離して!」

恐怖に駆られながら、必死に抵抗するも、酔っ払いとは言え、相手は男。敵うはずもなく。

雪愛は泣きながら、なんとか抵抗し続けたが、もうダメだと、目をぎゅっと瞑った。

…ドス。

低く鈍い音。そして、馬乗り状態から解放された雪愛は、恐る恐る目を開けた。

「何やってんだ!バカ!!」

その声は。

「…蘇芳、先生…」

…酔っ払いは、いつの間にか、ヨロヨロと逃げ出し、雪愛は、蘇芳先生に助けられた。

「…来い」

最悪なくらい低い声でそう言った蘇芳先生は、雪愛を当直室に連れて行くと。

「そこに座れ」
と、簡易ベッドを指差した。

困惑する雪愛に溜息をついた蘇芳先生。

「ケガしてる…手当てするから、座れ」

肘と膝を擦りむいていた。
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