蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
「…蘇芳先生、ここですか?」

ノックと共に、三条先生の声が聞こえ、ドアが開いた。

…。

一瞬、部屋の空気が凍りついた。

「…何やってんですか、蘇芳先生」

眉間にしわを寄せ、三条先生が問いかける。

蘇芳先生の手は、雪愛の頬に触れたままで、ハッとした雪愛は、蘇芳先生から逃れ、立ち上がる。

「ち、違うんですよ!これは、私が派手にこけたから、蘇芳先生が見兼ねて、恥ずかしがる私を内緒にする代わりにここで手当てしてくれてただけなんですよ!ね!蘇芳先生」

「…」

雪愛の言葉に、蘇芳先生は答えることなく黙りを決め込む。

三条先生は相変わらず、2人を怪しんだ目で見つめる。

「…ほら、ここと、ここ。ケガしてるでしょう?」

手当てされたケガの箇所を三条先生に見せつけた雪愛は。

「恥ずかしいから、内緒にしててくださいね!三条先生!…蘇芳先生、手当てありがとうございました!失礼します」

一気にまくし立て、雪愛は当直室を逃げ出した。
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