蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
…蘇芳先生の笑顔は、心臓に悪いと思いながら、きた牛丼を受け取ると、口一杯に頬張った雪愛。

「…お前は子供か?」
「…え?」

クスクスと笑いながら、蘇芳先生は雪愛の口の端に付いてるご飯粒を取り、食べてしまった。

…恥かしい。っていうか、その行動が、仕草がエロい。

「な、何するんですか!言ってくれたら、自分で取るのに…」

赤い顔を隠すように俯き加減で、牛丼を黙々と食べ続けた。

…それでも、食べ終わるのは、蘇芳先生の方が早かった。

「…そんなに慌てて食べなくていい。喉につっかえるぞ」

「大丈…ゴホッ、ゴホッ…」
「言った側から、何やってる、ほら、お茶」

「…すみませ…」

お茶を飲んで、何とか事無きを得た雪愛は、溜息をついた。

食事が終わり、再び駐車場に行くと…

「危なっ…‼︎」「キャッ!」

駐車場だと言うのに、荒い運転の車に危うく轢かれそうになった雪愛を、蘇芳先生が助けた。

「ったく。本当にお前は抜けてるな」
「…すみません、ありがとうございます」

…本当に助かったが、蘇芳先生に抱き締められてるこの状況が、すこぶる恥かしい。…雪愛は顔を真っ赤にした。
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