蕩けるくらいに抱き締めて(続き完結)
そっぽを向いたまま、蘇芳先生が呟くように囁いた。

「え?あ、ありがとうございます。蘇芳先生に好かれるなんて、看護師として嬉しい限りです」

と、的外れな言葉を返した雪愛。蘇芳先生はまた、溜息をつき、次の瞬間、蘇芳先生は雪愛を抱き寄せた。

「…お前って、ほんっとうに!抜け過ぎ」
「え?あ、え?」

蘇芳先生の腕の中でアタフタする雪愛を、これでもかってくらいきつく抱き締めた蘇芳先生は、雪愛の耳に唇を寄せた。

雪愛の耳は、みるみる赤くなっていく。それでも、蘇芳先生は唇を離そうとはせず、そのまま囁いた。

「雪愛が好きだ。…看護師としてじゃなく、一人の女として」

「…う、そ」

まさかの言葉に雪愛の身体中の力が抜けていく。蘇芳先生は驚きつつ、雪愛の身体を支え、小さく笑う。

「驚き過ぎだ」
「…だって、こんな事って、…私も」
「…ん?」




「…蘇芳先生が…す、き」



ポロポロと流れる涙もお構いなしに、雪愛は自分の気持ちを囁いた
< 44 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop